この10月初旬に、
連合総研から「勤労者の仕事と暮らしに関するアンケート」の結果が発表されました。
この調査では、勤労者の景況感や物価、仕事に関する意識調査などが毎年行われます。
今年は、この他に、残業の実態や時間管理など職場の状況と
勤労者のいわゆる「ブラック企業」に関する認識についても意識調査が行われました。
まず、過去1年の職場における違法状態に関して、
最も多い全体の約2割が、「残業代の未払いがあった(19.3%)」と認識し、
次いで、「有給休暇を申請しても取れない(14.4%)」となっています。
そして、この職場における違法状態への対応としては、
「何らかの行動を起こす」としている回答者は約半数の44.6%で、
「何も行動しない(今の職場に残る14.1%)(現在の仕事をやめる18%)」を
大きく上回りました。
その行動とは、上司や同僚への相談だけでなく、
「労働基準監督署への申し立て(36.4%)」「行政の労働相談の利用(27%)」
など、外部機関への訴え・相談などが上位に入っており、
企業に対し、何らかの対応(遡及)・改善措置などを求め、
泣き寝入りはせず決着したいという勤労者の意思が伺えます。
また、景気・物価や賃金に対する意識調査では、
1年後の景気見通しは悪化、物価は上昇すると認識する人が多い上に、
賃金収入の増減については改善が見られず、
今後の見通しも厳しいとの認識結果が出ています。
先行きへの不安から、現状にとどまり我慢するのか、
企業に対する不満や不信感を解消するために、自らの権利を主張するのか・・・。
調査結果からもわかりますが、私の感覚からしても、
このところの企業からのご相談件数の増え方やそのご相談内容を考えてみれば、
圧倒的に後者が増加しているように感じています。
企業としては、
自社の労務管理上に違法状態となっている箇所がないかを確認し、
万が一、違法状態となっている箇所が見つかった場合には、
早急に改善する必要があるでしょう。
公益財団法人 連合総合生活開発研究所
「第26回勤労者の仕事と暮らしについてのアンケート調査」
(社会保険労務士 山下 智美)